映像送信型性風俗特殊営業の届出はどの警察署に出す?管轄の決まりを行政書士が解説
映像送信型性風俗特殊営業の届出はどの警察署に出すのかを行政書士がわかりやすく解説。管轄が事務所所在地で決まる理由、自宅・レンタルオフィス・複数拠点の場合の考え方、届出前に整理すべきポイントをまとめます。

この記事でわかること
- 届出先の管轄は「事務所の所在地」で決まる理由
- サイト・サーバー・外部プラットフォームが管轄の基準にならない理由
- 自宅・レンタルオフィス・複数拠点・外部プラットフォーム利用時の整理の仕方
- 届出前に確認すべき事務所・営業主体・営業ページの関係
目次
映像送信型性風俗特殊営業の届出を検討する際、比較的早い段階で問題となる論点が、「どの警察署に届出を行うべきか」という点です。
映像送信型性風俗特殊営業は、インターネット等を利用して映像を送信する営業類型であるため、営業場所の考え方が分かりにくい面があります。そのため、実務上も、
- 「サイトを公開している場所が基準になるのか」
- 「サーバーの所在地で判断するのか」
- 「自宅住所でよいのか」
- 「法人の本店所在地なのか、実際の事務所所在地なのか」
といった点で迷うケースが少なくありません。
映像送信型性風俗特殊営業の届出先は、原則として事務所の所在地を所轄する警察署を基準に考えます。風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行規則においても、申請書又は届出書は「事務所の所在地の所轄警察署長を経由して」提出する旨が定められています。また、警視庁は、性風俗関連特殊営業に関する様式として、映像送信型性風俗特殊営業の営業開始届出書や、営業の方法を記載した書類を公表しています。さらに、必要書類として、事務所の使用について権原を有することを疎明する書類が求められていることからも、届出実務において「事務所所在地」が重要な出発点となることが分かります。
本記事では、映像送信型性風俗特殊営業の届出はどの警察署に提出するのか、管轄は何を基準に判断するのか、自宅・レンタルオフィス・複数拠点・外部プラットフォーム利用時にはどのように整理すべきかについて、行政書士の視点から実務的に解説します。
1. 管轄は「サイト」ではなく「事務所の所在地」で考える
1-1. 基本は事務所所在地を所轄する警察署
映像送信型性風俗特殊営業は、店舗型の営業とは異なり、インターネット等を通じて映像を客に見せる営業です。そのため、「オンライン上で完結する営業であれば、どの警察署でもよいのではないか」と考えられることがあります。
しかし、届出先を判断する際の基準は、サイトのURLやサーバー所在地ではありません。法令上、届出書は事務所の所在地の所轄警察署長を経由して提出する建て付けとなっているため、届出先は、営業の本拠となる事務所の所在地を基準に判断します。
したがって、映像送信型性風俗特殊営業の届出を行う場合には、まず「届出上の事務所をどこに置くのか」を明確にする必要があります。管轄警察署の判断は、その後に整理される事項です。
1-2. 「ホームページごとの届出」と「警察署の管轄」は別の問題
ここで混同しやすい点が、警視庁等が案内している「ホームページごとの届出」という考え方です。
これは、どのサイト・どのページを営業単位として届け出るか、という届出対象の整理に関する問題です。一方で、どの警察署に提出するかは、事務所所在地を基準に判断します。
つまり、実務上は次のように分けて考える必要があります。
- 届出の単位:営業に使用するホームページ・営業ページごとに整理する
- 提出先の管轄:事務所所在地を所轄する警察署を基準に判断する
この二つを混同すると、「サイトが複数あるから警察署も複数になるのではないか」「外部プラットフォーム上のページだからプラットフォーム所在地の警察署に出すのではないか」といった誤解につながります。
1-3. サーバー所在地やドメイン取得先で管轄が決まるわけではない
実務上、特に生じやすい誤解が、「海外サーバーを利用している場合は日本の警察署への届出は不要なのではないか」「ドメイン管理会社の所在地が管轄の基準になるのではないか」というものです。
しかし、届出先の判断基準は、あくまで営業者の事務所所在地です。サーバーの所在地、ドメイン登録事業者の所在地、決済代行会社の所在地、外部プラットフォームの運営会社所在地は、通常、届出先警察署を決める基準にはなりません。
映像送信型性風俗特殊営業の届出では、オンライン上の媒体そのものではなく、営業者がどこを本拠として営業を行うのかが重視されます。そのため、管轄の起点は、営業者が事務所として使用する場所であると整理すべきです。
2. そもそも映像送信型性風俗特殊営業とは何か
2-1. 風営法上の位置付け
映像送信型性風俗特殊営業とは、風営法上の性風俗関連特殊営業の一類型です。
警察庁の解釈運用基準では、映像送信型性風俗特殊営業について、専ら性的好奇心をそそるため、性的な行為を表す場面又は衣服を脱いだ人の姿態の映像を、電気通信設備を用いて客に見せる営業とされています。また、この「映像」には、動画だけでなく静止画も含まれると解されています。
典型的には、次のような営業が問題となります。
- 成人向け動画の販売
- 会員制の成人向けサイト運営
- 成人向け画像・動画のサブスクリプション販売
- ライブ配信型の成人向けサービス
- 外部プラットフォームを利用した有料コンテンツ提供
もっとも、具体的に届出対象となるかどうかは、提供するコンテンツの内容、料金体系、公開方法、営業主体、利用する媒体等によって判断が必要です。単にインターネット上で成人向けコンテンツを扱っているというだけで、常に同じ結論になるわけではありません。
2-2. 個人でも法人でも届出対象になり得る
映像送信型性風俗特殊営業は、個人で行う場合も、法人で行う場合も、届出対象となり得ます。
警視庁が公表している必要書類でも、個人と法人で添付書類の例示が分かれています。法人の場合には、定款、法人の登記事項証明書、役員全員の住民票など、個人の場合よりも追加で準備すべき書類が多くなります。
ただし、警察署の管轄の考え方自体は、営業主体が個人か法人かによって大きく変わるものではありません。いずれの場合であっても、営業の本拠となる事務所所在地を基準に、所轄警察署を判断することになります。
3. 事務所所在地で管轄が決まる理由
3-1. オンライン営業であっても、制度上は「事務所」が前提となる
映像送信型性風俗特殊営業は、インターネットを利用する営業であるため、外形上はオンラインで完結しているように見えます。しかし、届出制度上は、営業者の事務所が重要な意味を持ちます。
警視庁の必要書類一覧でも、事務所の使用について権原を有することを疎明する書類が求められています。具体的には、使用承諾書、賃貸借契約書の写し、建物に係る登記事項証明書などが例示されることがあります。
これは、営業がオンライン上で行われるとしても、制度上は、営業者がどこを本拠として当該営業を行うのかを明らかにする必要があるためです。
したがって、「インターネット営業だから物理的な事務所は関係ない」と考えるのは適切ではありません。むしろ、オンライン営業であるからこそ、届出上の事務所をどのように設定するかが重要になります。
3-2. 警察署が確認する起点は営業者の拠点
届出制度は、どの営業者が、どこを本拠として、どのような方法で営業を行うのかを行政が把握するための制度です。
そのため、警察署が確認の起点とするのは、営業に使用するウェブページそのものではなく、営業者の事務所です。ウェブサイトや外部プラットフォームのページは、あくまで営業の媒体であり、営業者の拠点そのものではありません。
この点は、施行規則上、「事務所の所在地の所轄警察署長を経由して」届出書を提出するという構造からも自然に理解できます。管轄警察署を判断する際には、まず営業者側の拠点を確定し、その所在地を基準に考える必要があります。
4. 管轄警察署の判断で迷いやすいケース
4-1. 自宅を事務所にする場合
個人で映像送信型性風俗特殊営業を開始する場合、自宅を事務所として届け出るケースがあります。この場合、基本的には自宅所在地を所轄する警察署が届出先の候補となります。
ただし、届出先の問題と、その自宅を事務所として使用できるかという問題は別です。
警視庁の必要書類では、事務所の使用権原を疎明する書類が求められています。持家であれば建物の登記事項証明書等、賃貸物件であれば賃貸借契約書や使用承諾書等の確認が必要になる場合があります。
特に賃貸物件の場合、契約上、事業利用が禁止されていることがあります。また、居住用として契約している物件を性風俗関連特殊営業の事務所として使用できるかについては、慎重な確認が必要です。
そのため、自宅を事務所とする場合には、単に住所があるというだけでなく、その場所を届出上の事務所として適切に説明できるかを検討する必要があります。
4-2. レンタルオフィスを事務所にする場合
レンタルオフィスを事務所として利用する場合も、基本的にはその所在地を所轄する警察署が届出先の候補となります。
もっとも、レンタルオフィスであればどのような形態でもよいわけではありません。実務上は、次のような点が問題となります。
- 専用区画があるか
- 営業者が継続的に使用できる場所といえるか
- 事務所としての使用権原を疎明できるか
- 契約上、当該用途での利用が禁止されていないか
- 運営会社から必要な使用承諾を得られるか
単なるバーチャルオフィスや郵便受けのみのサービスでは、事務所としての実体を説明することが難しい場合があります。また、レンタルオフィスの運営会社が、性風俗関連特殊営業での利用を認めないケースも考えられます。
したがって、レンタルオフィスを利用する場合には、契約前の段階で、届出上の事務所として利用可能かを確認しておくことが重要です。
4-3. 複数拠点がある場合
法人やチームで運営する場合には、登記上の本店、実際の作業場所、撮影場所、顧客対応を行う場所、データ管理を行う場所が分かれていることがあります。
このような場合に重要なのは、「届出上の事務所をどこにするのか」を最初に整理することです。
例えば、法人の本店所在地と実際の運営拠点が異なる場合、形式的な本店所在地だけで判断してよいのか、実際に営業管理を行っている場所を事務所とすべきかを検討する必要があります。
サイト管理、契約管理、顧客対応、売上管理、コンテンツ管理など、営業の本拠として機能している場所がどこなのかを整理し、その所在地を基準に管轄警察署を判断することになります。
複数の住所が存在するからといって、直ちに複数の警察署へ届出を行うということにはなりません。まずは、届出制度上の「事務所」としてどの場所を位置付けるのかを明確にすることが必要です。
4-4. 外部プラットフォームを利用する場合
Fantia、MyFans、OnlyFans、StripChatなどの外部プラットフォームを利用して成人向けコンテンツを提供する場合でも、管轄警察署の考え方は基本的に変わりません。
営業ページが外部サービス上に存在するとしても、届出先の管轄は、営業者自身の事務所所在地を基準に判断します。外部プラットフォームの運営会社所在地、サーバー所在地、決済会社の所在地が届出先になるわけではありません。
ただし、外部プラットフォームを利用する場合には、届出書や営業の方法を記載した書類において、どのページを営業ページとして整理するのか、どのように客に映像を見せるのか、料金の支払方法や閲覧方法をどのように説明するのかが問題となります。
そのため、外部プラットフォームを使う場合でも、「管轄は事務所所在地」「営業方法の説明は実際の提供形態に即して整理する」という二段階で検討することが重要です。
5. 実務でよくある誤解
5-1. 「警視庁のページに様式があるから警視庁本部へ出す」と考えてしまう
警視庁のウェブサイトに様式や必要書類の案内が掲載されているため、「警視庁本部へ直接提出するのではないか」と考えるケースがあります。
しかし、実際の届出では、管轄警察署の考え方が重要です。施行規則上、届出書は事務所所在地の所轄警察署長を経由して提出する構造になっています。
したがって、東京都内で営業を行う場合であっても、まず確認すべきは、事務所所在地を管轄する警察署です。警視庁の様式を利用する場合でも、提出先は個別の管轄警察署となるのが基本です。
5-2. 「サイトが複数あれば警察署も複数になる」と考えてしまう
「ホームページごとの届出」という案内を見ると、サイトが2つあれば警察署も2か所になるのではないかと誤解されることがあります。
しかし、ホームページごとの届出という考え方は、届出対象となる営業ページの単位に関するものです。一方で、提出先の管轄は、事務所所在地を基準に判断します。
そのため、複数の営業ページを運営している場合でも、営業者の事務所が一つであれば、まずはその所在地を所轄する警察署を基準に整理することになります。
もちろん、複数の拠点で実質的に別個の営業を行っているような場合には、個別の検討が必要です。しかし、少なくとも「ページ数=警察署数」と単純に考えることは適切ではありません。
5-3. 「住所だけあればどこでも届出できる」と考えてしまう
事務所所在地が管轄の基準になると聞くと、「住所さえ用意すればよい」と考えてしまう場合があります。しかし、これは適切ではありません。
警察が必要書類として求めているのは、事務所の使用について権原を有することを疎明する書類です。したがって、単なる郵便受け、実体のない住所、契約上使用目的に問題がある場所では、届出上の事務所として説明することが困難になる場合があります。
管轄警察署を判断する前提として、そもそもその場所を事務所として使用できるのか、使用権原を資料で示せるのか、営業内容との関係で契約上・実務上の問題がないかを確認すべきです。
6. 管轄を判断する前に整理しておくべき事項
6-1. 営業主体は誰か
最初に整理すべき点は、営業主体です。
個人として営業するのか、法人として営業するのかによって、届出書の記載内容や添付書類が変わります。法人の場合には、定款、登記事項証明書、役員に関する書類など、個人の場合よりも準備すべき資料が増えます。
営業主体が曖昧なままでは、事務所の整理も、営業方法の説明も、添付書類の判断も不安定になります。特に、将来的に法人化を予定している場合には、最初の届出をどの主体で行うのかを慎重に検討する必要があります。
6-2. 届出上の事務所をどこにするか
次に、届出上の事務所をどこに置くのかを決める必要があります。
自宅、賃貸事務所、レンタルオフィス、法人本店、実際の運営拠点など、候補となる場所が複数ある場合には、それぞれについて使用権原、実体、契約内容、営業実態との整合性を確認します。
ここが確定しなければ、どの警察署に提出するのかも確定しません。管轄警察署の判断は、事務所所在地の整理と一体で考える必要があります。
6-3. どのページを営業単位とするか
警視庁がホームページごとの届出を案内している以上、どのページを営業ページとして整理するのかも重要です。
自社サイトのみを利用するのか、外部プラットフォームを利用するのか、複数のページを使い分けるのかによって、届出書や営業の方法を記載した書類の作り方が変わります。
管轄警察署だけを先に確認しても、営業単位の整理ができていなければ、届出書類全体の整合性が取れません。事務所、営業主体、営業ページは、相互に関連する事項として整理することが重要です。
7. 行政書士に相談した方がよいケース
7-1. 事務所候補が複数ある場合
自宅とレンタルオフィスのどちらを事務所にすべきか迷っている場合、法人本店と実際の作業場所が異なる場合、撮影場所と管理場所が別にある場合などは、届出上の事務所の整理が難しくなります。
このようなケースでは、どこを営業の本拠として位置付けるのが適切か、どの場所であれば使用権原を資料で示せるか、管轄警察署への説明が可能かを事前に検討する必要があります。
7-2. 外部プラットフォームと自社サイトを併用している場合
外部プラットフォームと自社サイトを併用している場合、営業ページの整理が複雑になりやすいです。
どのページを届出対象として扱うのか、複数ページをどのように整理するのか、営業の方法を記載した書類にどのように反映するのかによって、届出書類の構成が変わります。
後から営業ページの整理をやり直すと、修正や追加資料の提出が必要になることもあります。複数媒体を利用する場合には、営業開始前の段階で専門家に相談しておくと、手戻りを防ぎやすくなります。
7-3. 法人で開始する場合、又は将来的な法人化を予定している場合
法人で映像送信型性風俗特殊営業を始める場合、個人の場合よりも必要書類が増えます。また、役員に関する資料、定款の目的、法人の本店所在地、実際の事務所所在地など、確認すべき事項も多くなります。
特に、最初は個人で開始し、後から法人化する予定がある場合には、当初の届出段階から将来の変更を見据えておくことが重要です。営業主体の変更や事務所の変更が生じる場合、別途手続が必要となる可能性もあるため、最初の設計を軽視すべきではありません。
8. まとめ
映像送信型性風俗特殊営業の届出先で迷った場合には、まず「事務所の所在地」を基準に考えることが重要です。
風営法施行規則上、届出書は事務所所在地の所轄警察署長を経由して提出する構造となっており、届出先は、サイトのURL、サーバー所在地、外部プラットフォームの所在地、ドメイン管理会社の所在地によって決まるものではありません。
一方で、警視庁は映像送信型性風俗特殊営業について、ホームページごとの届出を案内しています。したがって、実務上は、
- 提出先の管轄は、事務所所在地で判断する
- 届出の単位は、営業に使用するホームページ・営業ページごとに整理する
という二段階で考える必要があります。
また、必要書類には、事務所の使用権原を疎明する書類が含まれます。自宅、賃貸事務所、レンタルオフィス、法人本店、実際の作業場所など、どこを届出上の事務所とするのかは、届出全体の前提となる重要な論点です。
特に、自宅を事務所とする場合、レンタルオフィスを利用する場合、複数拠点がある場合、外部プラットフォームを利用する場合には、管轄警察署の判断だけでなく、事務所の実体、使用権原、営業ページの整理、営業主体との整合性を総合的に確認する必要があります。
映像送信型性風俗特殊営業の届出は、単に書類を提出すれば足りる手続ではありません。事務所、営業主体、営業方法、営業ページの整理が不十分なまま進めると、後から修正や追加説明が必要となる可能性があります。
営業開始前の段階で、管轄警察署、届出上の事務所、営業ページの範囲を適切に整理しておくことが、手続全体を円滑に進めるための重要なポイントです。判断に迷う事情がある場合には、早めに行政書士へ相談し、届出書類の作成前に全体設計を確認しておくことが推奨されます。
この記事の執筆者

なないろ風営届出サポート 行政書士チーム
- ✔ 映像送信型・無店舗型性風俗特殊営業の届出実績多数
- ✔ 書類作成から警察署への提出まで一括サポート
- ✔ 行政書士2名体制で全国対応・無料相談受付中

